「こけら落とし」という言葉がありますが、どういう意味?と聞かれてちゃんと答えられますか?
日本語でありながら、知らない言葉もけっこうありますよね。
そこで今回は「こけら落とし」の由来から、意味と使い方まで、解説していきます。
正しい日本語を使うためにも知っておくと良いこと間違いなしですよ!
「こけら落とし」ってどんな意味?
こけら落としというのは、“新たに建てられた劇場で初めて行われる催しのことである”
(引用:ウィキペディア)とあります。
新築、もしくは改築した劇場や競技場などで、公演や舞台、映画、スポーツ、イベントなどを開催することを「こけら落とし」というのです。
本来は屋根のある室内の劇場などで開催される催しものを指すのですが、今では野外でのイベントなどもこけら落としという言葉が使われています。
新築や改築をしてから一番最初に開かれる舞台や催しものを指して言う言葉なのです。
「こけら落とし」の由来は?
では、この「こけら落とし」って言葉はどこからでてきたのでしょう?
そもそも「こけら」って何?ってところから始まりますよね。
「こけら」というのは、木材を切って組み立てるというときにでてくる切りくずのことを指す言葉なのです。
建設工事の最後に、この「こけら」を屋根から払い落とすという風習があるのですが、ここから「こけら落とし」という言葉が出てくるようになったのです。
江戸時代の歌舞伎場も完成した時に「こけら」を落としてからお披露目をしたことから、特に劇場などでの新築のお披露目公演を「こけら落とし」と呼ぶようになりました。
屋根のこけらを落とすことから始まった言葉なので、本来は屋根のある建物を新しく建てたり、建て替えたりしたときに、一番最初に催しものをすることを、こけら落としというのです。
が、今では、屋根のない競技場などで、新しくオープンするときにする催しものをこけら落としとも呼んでいるのです。
ところで、このこけら落とし、漢字でどう書くかご存じですか?
「杮落とし」
と書くのです。
ここで、ん?「柿(かき)」?と思った方、よ~く見てくださいね。
私も最初は区別がつきませんでした。
でもこの二つは、実は違う漢字なのです。
「かき」のほうの「柿」はつくりの部分が「なべぶた」を描いてから「巾」を書くものですね。
一方、「こけら」のほうのつくりの部分は、横棒を書いてから「巾」を書くものです。
要するに、縦の棒は一本につながっているのです。
ですから、「杮おとし」は「かきおとし」ではなく「こけらおとし」なのです。
コンピュータの字体では見分けがつかないことも多いでしょう。
それで、「ひらがな」を使っていることが多いようです。
「こけら落とし」の正しい使い方
では、「こけら落とし」の使い方を見てみましょう。
【例文①】
新しくできたホールで、こけら落としが行われます。
分かりやすい文章ですね。
【例文②】
こけら落としに出演できるなんて、なんて素晴らしいのでしょう。
新築劇場の最初の舞台に立てるというのは、やはり一目置かれているからなのです。
【例文③】
この競技場でのこけら落としは○○対△△の試合です。
演劇やコンサートだけではなく、球場や競技場での初試合もこけら落としという表現が使われているのです。
*こけら落としって英語でなんて言うの?
ここで、こけら落としの英語について一言。
こけら落としという言葉は英語には残念ながらありません。
が、あえて英語で表現してみると、
Opening of a new theater
ということができます。
新しい劇場のオープン、開場、とでもいいますかね。
もしくは、その公演のことなので、
The new theater was opened with a performance of 〇〇
「この劇場は〇〇のパフォーマンスで開場された」
というふうにも表現できますね。
こけら落としの類語もある
こけら落としという言葉を使うのも良いのですが、最近の若い人たちや子供たちには通じないこともあるかもしれません。
そんなときには似たような言葉、類語で表現して教えてあげても良いですよね。
【オープニング】
サッカーや野球などの競技で、オープニングという言葉をよく聞くと思います。
これも一つのこけら落としのようなものですね。
ただ、オープニングはシーズンの開幕を意味するもので、新築のお披露目競技とはまた意味が違いますけどね。
一応、似たような言葉ということです。
【初興行】
興行というのは料金をもらって行うイベントのことを指しますが、新築や改築した新しい会場で初めて行う興行のことを「初興行」と言います。
まさに「こけら落とし」のことですよね。
もともとは、こけら落としは室内のものに限って使われていたのに対して、「初興行」は野外での初の催しものにも使われていて、室内か室外かで区別されていました。
ところが、最近では屋外のイベントにも「こけら落とし」という言葉が使われているので、使い分けることも少なくなってきたのかもしれませんね。
まとめ
「こけら落とし」の意味と使い方などを見てきました。
意外と知らない日本語ってありますよね。
こけら落とし、これでマスターできましたね!
私も正しい使い方をするように心がけたいと思います。
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