梅干しを天日干しすることを「土用干し」と言います。
この過程を経て晴れて「梅干し」になることができるのですが、そもそもなぜ天日干し?という疑問を持ってる人も多いのです。
梅干しも漬物みたいなものだから、漬けるだけでいいんじゃない?って考える人も少なくないでしょう。
そこで今回は梅干しはなぜ天日干しをする?という疑問を解決していきます。
天日干しするからこそ「梅干し」なのですよ!
目次
梅干しはなぜ天日干しをするのか?
梅干しを作る過程は、
①塩漬け
②赤しそ漬け
③土用干し
となっています。
この3番目、一番最後の作業が土用干しなんですね。
土用干しというのは、7月下旬から8月の天気の良い夏日に三日三晩、日の当たるところで干すことを指します。
梅干しって、干すから「梅干し」になるのであって、漬けるだけだと「梅漬け」なんですよ。
干すことに意味があるってことなんですね。
では、天日干しすることの意味を説明していきましょう。
*殺菌作用
夏の日差しをあてることで、殺菌することができます。
紫外線は梅干しの表面にいる微生物のDNA情報を破壊し、増殖できないようにしてくれます。
また、細胞内に活性酸素を作らせ、その活性酸素によって微生物の細胞を酸化、死滅させたりすることができるのです。
余分な雑菌がなくなり、長期保存できる梅干しになるのです。
*水分減少
日差しにあてることで水分も蒸発しますが、三日三晩、夜露にもあてることで、太陽でできた果肉内の塩の結晶が溶かされて、果汁が梅の表面にでてくるようになります。
その表面にでてくる水分も日差しにあてて飛ばすことで、水分が減少。
水分が減少すると、微生物も増殖しにくいので、これも長期保存のために必要な条件になるのです。
他にも、
*梅の種が柔らかくなり、種と身がはなれやすくなる
*色が鮮やかになる
*塩味のとがりがとれて、味がまろやかになる
といった効果があります。
おいしい梅干しを作るためにはこの「土用干し」が必須の工程なのですね。
そういえば、実家の母もよく梅干しをつけていました。
太陽にあてていたのも見たことがあり、当時は特に疑問にも思わなかったのですが、あれが「天日干し」なんだなあと今更ながら思い返しています。
天日干しの方法
では、具体的に土用干し(天日干し)ってどのようにするのでしょうか?
もともとは三日三晩、外に出しっぱなしで、夜露にも充てることに意味があるとされていました。
が、最近では、大気中のホコリや夜に外に出しっぱなしは心配という、いろいろな理由から、その家庭によって、個人によっても方法が変わってきています。
①水気を切ってざるに並べる
梅酢につかっていた梅を、取り出して、水気を切ってからざるに並べます。
キッチンタオルなどで、一度水分をとってからざるに移しても良し。
水分が多いと天日だけではなかなか乾きにくく、そうなると殺菌効果も半減するのでね。
②日のあたるところで干す
三日三晩、外に置いて干しているのが理想的かもしれませんが、その家に代々伝わる干し方も違うようで、あまりこだわる必要はないようです。
1日目、2日目は朝干したら、夕方には取り込み、最後の日には夜露にもあてて・・という人もいますし、毎日夕方には取り込むという人もいます。
③瓶に移して保存
3日間干したら、あとは瓶に移して保存するだけです。
好みで梅酢も入れても良いですよ。
【天日干しアイディアあれこれ】
昔なら、一戸建てで庭のある家が多かったかもしれません。
私の実家でも家の前庭という感じで駐車スペースでしたが、空間があったので、そこで梅を干してました。
でも最近ではマンションやアパートに住んでいることもありますし、空中のホコリが気になってそのまま干すことに抵抗がある人も少なくありません。
そこでこんな方法もありますよ。
干物用ネットを使って干す方法です。
干物用ネットに梅をおいて、ベランダにつるしておくだけです。
日のあたるベランダなら、窓を開けてなくても十分、日があたりますよね。
そういえば、うちの母は梅を入れた入れ物のうえにガラスをかぶせていました。
同じように、梅をざるに入れてラップをかけて干すという人もいるようです。
こちらも良いですね。
ホコリなどがつく心配がなくなります。
天日干し(土用干し)の時期
ところで、天日干しをするのに適した時期というのがあるのでしょうか。
おおまかには7月下旬から8月ということになっていますが、梅雨が終わっていることが前提です。
この日程選びも梅干しの完成に影響を及ぼします。
なぜなら、3日間のうちに雨が降ったり、湿気の多い日が続くと、逆に梅に雑菌が増え、カビの原因になったりするからです。
土用干しというからには、夏の土用入りである7月20日から23日の間が理想的とされています。
しかし、最近では異常気象も多いので、梅雨が終わって、夏の日差しが強くなったころに、天気予報を見ながら、3日間晴れの日を選んで干すようにしたいですね。
さいごに
梅干しを天日干しをするのは、長期保存のために、水分を少なくしたり殺菌したりするための工程なのですね。
もちろん、この天日干しをしなくても「梅漬け」として食べることはできますが、消費期限は1年くらいとされています。
2~3年経ったものがおいしいといわれる梅干しを味わうには、天日干しをするべきなのですね。
おいしい梅干しが出来るといいですね^^
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