「製菓用のチョコレートじゃなくて、市販の板チョコでお菓子は作れないのかな?」
そんなふうに思った経験、誰でも1回くらいあると思います。
そこで今回は「製菓用チョコレートと市販の板チョコの違い」や、「市販の板チョコは製菓用の代用になるかどうか」について、まとめてみました!
目次
製菓用チョコレートと板チョコの違い
製菓用チョコレートはお菓子作りのために作られたチョコレート。
「お菓子作りの材料」であり、「お菓子」という訳ではありません。
一方、市販の板チョコレートはそのままで美味しく食べられるもの。
こちらは「お菓子」であり、「材料」ではありません。
と考えると、分かりやすいかもしれません。
製菓用のチョコレートと市販の板チョコレートについて、それぞれ詳しく解説していきますね。
・製菓用チョコレートとは?
文字通り「お菓子作りの材料」として販売されているチョコレートのことを指します。
あくまで「加工用」として販売されているので、市販のチョコレートみたいにかわいいパッケージだったり、かわいい形にカットされていたり、ということはまずありません。
大きなブロックタイプのものや、小さなチップ状になっていたりと、形は様々。
一袋当たりの量は多めのものが多く、市販の板チョコと比べると値段もちょっとお高め。
加工する目的で作られたチョコレートなので、食べてもあまり美味しいとは言えません。
(ただ、たまに例外で美味しいものもあるのだとか…)
・市販の板チョコレートとは?
私たちに馴染みがあるのがこちらの市販の板チョコでしょう。
「お菓子として食べる」ことを目的に作られているので、当然そのまま食べても美味しいものばかりです。
スーパーやコンビニでも手軽に買えますし、特に冬場なんかはお菓子メーカーがこぞってチョコレートの新商品を出してきますから、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
食べることを目的に作られているため、メーカー側はより食べやすいように、そしてより安価で提供できるようにするために、原料に植物油や乳化剤、香料などを加えて、チョコレートを製造しています。
その分、製菓用のように純度が高いチョコレートとは言えず、お菓子作りに使っても分離してしまったり、風味が落ちたりします。
製菓用チョコレートを分類すると
製菓用のチョコレートをざっくり分類すると、「スイートチョコレート」「ミルクチョコレート」「ホワイトチョコレート」の3つに分けることができます。
・スイートチョコレート
カカオバター、カカオマス、糖分から作られている、純度の高いチョコレート。
製菓用チョコレートの中では糖分の割合が少なく、カカオ50%前後のものが一般的とされています。色は暗いこげ茶色。
カカオの味わいを最もストレートに感じられ、そのまま食べるととても苦い(はっきり言えば美味しくない)です。
・ミルクチョコレート
カカオバター、カカオマス、糖分、ミルクからなるチョコレート。
「スイートチョコレート」にミルクを加えたものだと思うと想像しやすいかもしれませんね。
ミルクが入っている分、スイートチョコレートよりもカカオの分量が少なくなり、クリーミーで濃厚な味わいになります。
カカオ豆や、乳成分の質の違いで、味も少しずつ変わってきます。
・ホワイトチョコレート
他の二つのチョコレートとは違い、カカオマスを入れずに作られます。
カカオバター、糖分、ミルクなどが原料です。
カカオマスはチョコレートの褐色や苦みの素となるものなので、これが入っていない「ホワイトチョコレート」は白い、という訳なんですね。
他にも、甘さが強くてミルキーな味わい、というのも特徴です。
また、製菓用チョコレートにはこの3つのほかに、イチゴ味や抹茶味などの味が元からついている「フレーバーチョコ」というものもあります。
板チョコを製菓用チョコレートの代わりに使うことは出来る?
ズバリ!代用は可能です。
ただやはり、それ専用に作られている製菓用チョコレートと比べると、市販の板チョコレートにはいくつか欠点があるんですね。
・製菓用と比べてうまく固まらなかったり、分離したりする可能性がある。
・仕上がりが甘すぎになりがち
・風味が劣る
…などが挙げられます。
ただ、作るお菓子もいろいろなものがあると思うのです。
かしこまったパーティーや本格的なプレゼントに使う、というならともかく、作ったお菓子を家族と食べたり友達とシェアしたり、といった、普段の生活で楽しむのなら、何も製菓用を無理に用意する必要はありません。
代用として使える市販品をご紹介しますので、お菓子作りの参考にしてくださいね!
・市販のビターチョコレート
製菓用のスイートチョコレートと比較的似た風味を持つのが、市販のビターチョコレートです。
程良く甘みがあり、苦みも強い分、甘さの調整がしやすいという利点も。
ただ、やはり市販品ですから、製菓用チョコレートと比べると、作るお菓子によっては難しい場合も。
ビターチョコレートを使う場合は、事前にしっかりとテンパリングをしておきましょう。
そうすることで口どけもなめらかになり、ツヤのあるきれいな状態でチョコレートをつかうことができますよ。
・市販のミルクチョコレート
安価で手に入りやすい市販のミルクチョコレートは、お菓子ではプリンや焼き菓子などを作るのに向いています。
ただ、そのまま食べても十分甘いため、レシピ通りの分量でお菓子を作ってしまうと、甘くなりすぎる恐れがあります。
ですので、市販のミルクチョコレートを使う場合は、砂糖や甘味料などの分量を工夫しながら作らないといけない、というデメリットがあります。
・純ココア
純ココアの原料は、製菓用チョコレートと同じものです。
パウダー状になっているので溶けやすく、材料に入れれば簡単にチョコ風味に変えることができるスグレモノ。
元々の苦みが強いので、砂糖や甘味料などを調整すれば、自分好みの甘さにできるのも魅力ですね。
ただその分、純ココア自体が固まるための要素を持っていないため、溶かしてまた固めるタイプのチョコレート菓子を作るには不向きです。
・キャロブ
「キャロブ?」と耳馴染みがない人もいるのではないでしょうか?
キャロブというのは地中海付近で取れるマメ科の植物で、現地ではコーヒーやココアの代用品として親しまれている作物です。
本来のチョコレートのように原料がカカオではないため、カカオの風味はしないものの、甘さ控えめで優しい苦味があり、チョコレートと似た味なんですね。
キャロブはパウダータイプやチップタイプなど、様々な種類があるので、用途に合わせて使用できるのも良いところ。
ただ、販売しているお店が限られているため、専門店やインターネットで購入する必要があります。
使いたいときや食べたいときに、その辺で手軽に購入できるものではないんですね。
値段はピンキリで、ネットだとキャロブパウダーの最安値が100グラム300円くらいのようですね。
板チョコで代用する際の注意点
製菓用チョコの代わりに板チョコを使うことは可能ですが、注意点がいくつかあります。
・あまりに安いチョコレートはNG!
市販のチョコレートは比較的安価のものが多いですが、極端に安いものを選ぶと、含まれているカカオ分が少ないものになりがちです。
そうなると製菓用チョコレートとは味が全く違ってきますし、カカオが少ない分、混ぜてあるものも多いので、調理には不向きとなってしまいます。
・複数のメーカーのチョコレートを混ぜてはダメ!
市販の板チョコレートなら何を使ってもいいという訳ではありません。
特に、メーカーが違う板チョコを混ぜて使うと、使っている材料や配合の仕方なども違うため、成分に違いが生じてしまいます。
そうなると、チョコレートが固まりにくくなったり、出来上がっても美味しくなくなってしまうことも。
市販のものを何枚か使うときは同じメーカーのものを、できれば同じ商品を揃えるようにしましょう。
・固まりにくいチョコレートに注意!
市販の板チョコレートを買うときは、パッケージの成分表に「チョコレート」、「チョコレート菓子」と表記してある板チョコを選ぶと良いですよ。
「準チョコレート」はカカオ分や乳固形分が少ないため、固まりにくいのです。
溶かしたままで固めないお菓子(焼き菓子に入れて使うなど)の場合は良いのですが、溶かしたあともう一度固める必要があるトリュフやチョコバーなどを作るときは、「準チョコレート」を選んではダメですよ。
おわりに
製菓用チョコレートにも、市販のチョコレートにも、それぞれ良い点もあれば、残念に思う点もあります。
「お金をかけずにお菓子作りを楽しみたい!」というときは市販の板チョコレートを使って。
「大事な場面に手作りチョコをプレゼントしたい!」というときは製菓用を。
といった具合に、お菓子を作るときは「自分がそのとき何を目的に作るのか」を考えると、どちらを使ってお菓子づくりをしたら良いか、分かりやすくなりますよ。
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