おいしい食べ物がたくさんある秋。その中の1つに栗がありますね。
栗ごはん、栗おこわ、栗きんとん、栗鹿の子、モンブラン…。
栗を使った料理やお菓子はいくつもあり、女性人気も高い食べ物です。
とてもおいしい栗ですが、食べるまでには少し手間がかかります。
特に、外側のトゲトゲとした皮はとても厄介です。
みなさんは、栗のトゲトゲの役割について考えたことはありますか?
さらに、普段何気なく食べている栗の実にも、意外な事実が隠されていたのです。
栗について少し掘り下げてご紹介します。
栗のトゲトゲは動物から守るためにあるのではない
栗のトゲトゲは、正式名称を「イガ」と言います。聞いたことがありますね。
栗以外の植物や動物にも、トゲを持つ種類はいます。
トゲの役割を聞かれたとき、通常ならば他の動物から身を守るためだと考えるでしょう。
しかし、栗についてはその理由は当てはまらないとされています。
根拠は、栗が熟したときの状態にあります。
栗は茶色く熟して地面に落ちたものを拾う、というのはなんとなくイメージできますね。
拾ったことがある人は分かりますが、落ちている栗は外側の殻が割れて中が見えています。
つまり、誰でも実をとれるため、トゲ=動物から守るとは言えないのです。
そこで考えられるのは、「虫」から身を守るためということです。
栗を食べていると、皮に穴が開いていたり、小さな虫が出てきたりすることがあります。
あの虫は、「クリシギゾウムシ」という虫の幼虫です。
クリシギゾウムシは、青い状態の栗に卵を産み付けます。
卵は栗の中で孵化し、幼虫は栗の栄養分をエサにして成長するのです。
結局守れていないと思うかもしれませんが、トゲがなければ他の虫にも狙われます。
人間が食べるところなどほとんど残っていなかったかもしれませんね。
トゲはわずらわしいものですが、栗がとても苦労しているように思えてきませんか?
こうした涙ぐましい努力のおかげで、おいしい栗が食べられるのです。
ですが、この事実を知ったからといって、やはりトゲが刺さるのは嫌ですよね。
今ではあまり触る機会はありませんが、刺さったときはどう対処すべきなのでしょうか。
自分で出来るのは、ピンセットや毛抜きで慎重に抜くという方法です。
蜂蜜や梅肉を患部に塗ってしばらく置くという方法も効果的だそうです。
栗のトゲトゲは燃料として利用できる
面倒な存在である栗のトゲトゲですが、燃料として利用できます。
乾燥していて、とても火がつきやすいようです。
バーベキューの際、近くに栗があれば使ってみてはいかがでしょうか。
ただし、火がついたまま転がることがないよう注意が必要です。
山付近の地域にとっては、当たり前の活用方法かもしれませんね。
栗の実は「実」ではない
普段食べている栗の甘い部分を、私たちは「実(果実)」と呼んでいます。
ところが、実は果実の部分を食べているのではないのです。
その証拠に、栗を食べていても種が出てくることはありません。
ではどこを食べているのかというと、「種」の部分です。
スイカやブドウなどのくだものは、種は硬いため食べずに捨ててしまいます。
ところが栗の場合は、その種の部分が食用になっています。
栗の果実は、渋皮と鬼皮の部分です。剥くときに手が汚れますね。
果実は必ずしも甘くておいしいというわけではないということです。
トゲトゲは、皮にあたります。
改めて整理すると、食べているところ=種、渋皮、鬼皮=実、トゲトゲ=皮
となります。
名前に「皮」とついているのに実だというのは少しややこしいですね。
ちなみに、クルミも栗と同じで、種にあたる部分を食べています。
ところで、種ということは、土に植えれば芽が出るのでしょうか。
結果は、そのまま植えただけでは芽は出ません。芽を出すには殻が必要です。
興味があるなら、殻がついたまま植えてみましょう。
まとめ
栗についての事実をご紹介しました。
何気なく食べているものについて改めて考えることは少ないのではないでしょうか。
『桃栗三年柿八年』から始まることわざのように、栗は時間をかけて実をつけます。
数年かけて実をつけても、今度は虫から守らなければいけません。
トゲトゲを使うほど必死に守っていると思うと、栗の見方も少し変わりそうですね。
実物のトゲトゲを見ることがあったら、栗の努力の証だと思いましょう。
トゲトゲの役割よりさらに意外だったのは、栗の種の部分を食べているという事実です。
これから栗のシーズンを迎えるので、食べながら家族や友だちに教えてあげましょう。
きっとみなさん驚くでしょうし、よく知っていると感心されると思います。
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